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高齢の親が介護施設や老人ホームに入所した後、「施設や特定の親族から面会を拒否されている」「理由を説明されないまま会わせてもらえない」といった相談は、近年急増しています。
とくに認知症がある場合、「本人が会いたくないと言っている」「安全配慮のため」などと説明され、子どもが父母の安否すら確認できないケースも少なくありません。
本コラムでは、施設入所中の父に会わせてもらえない場合、どのような法的対処が考えられるのかを、日本の法律と裁判例をもとに解説します。
結論から言えば、一定の条件のもとで、子には親と面会する法的に保護された利益があると考えられています。
横浜地方裁判所平成30年7月20日決定は、次のように判示しました。
子が高齢の両親の状況を確認し、必要な扶養をするために面会を希望することは自然であり、
それが本人の明確な意思に反せず、平穏な生活を不当に侵害しない限り、
子には両親と面会する権利がある。
この判断は、憲法13条の「人格権(幸福追求権)」を根拠に、
**「親族として面会交流を不当に妨害されない利益」**が法律上保護されると認めた点で重要です。
施設側が面会を制限できるのは、無制限ではありません。
高齢者虐待防止法13条は、虐待を行った養護者に対してのみ、例外的に面会制限を認めています。
このような場合、面会拒否は違法な妨害行為と評価される可能性があります。
いきなり訴訟に進む前に、次の対応が重要です。
これらを書面で明確にすることで、後の法的手続の重要な証拠になります。
地域包括支援センターは、高齢者の権利擁護も業務に含みます。
第三者の立場から施設に指導が入ることで、状況が改善する例もあります。
兄弟姉妹など親族が面会を妨害している場合、
家庭裁判所で「親族間の紛争調整調停」を申し立てることができます。
ただし、調停は話し合いであり、相手が応じなければ解決しません。
調停でも解決しない場合、
「面会妨害をしてはならない」という仮処分を裁判所に求めることができます。
前述の横浜地裁決定では、
施設と特定の子に対し、面会妨害を禁止する仮処分が認められました。
仮処分は迅速性が重視されるため、
といった事情がある場合、有効な手段となります。
誤解されがちですが、成年後見人に「親子の面会を禁止する一般的権限」はありません。
後見人は財産管理や法律行為の代理が主な役割であり、
面会制限はあくまで本人の利益を守るために必要な場合に限られるとされています。
実務上、後見人や施設が権限を誤解して面会を拒否しているケースも多く、
その場合も仮処分や裁判で是正され得ます。
施設入所中の父に会わせてもらえない場合でも、
という点は、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。
「父に何かあったらどうしよう」という不安を抱え続ける必要はありません。
状況が深刻な場合は、高齢者問題に詳しい弁護士への早めの相談が、結果的に最も早い解決につながることも少なくありません。