お電話でのお問い合わせ06-6206-6166

遺留分侵害額請求の実務では、単に
「遺言で不公平だったか」
という問題にとどまりません。
実際には、
といった事情が重なり、
その贈与(=特別受益)を遺留分計算にどう反映させるかが核心になります。
2019年7月1日施行の民法改正により、従来の「遺留分減殺請求」は廃止され、
**金銭請求権としての「遺留分侵害額請求」**に一本化されました(民法1046条)。
この結果、遺留分は次の二段階で算定されます。
特別受益は、この両段階で異なる形で関与します。
特別受益とは、
被相続人が特定の相続人に与えた遺産の前渡し的利益をいい、民法903条1項に規定されています。
対象となるのは、主に以下です。
相続人以外への贈与は、原則として特別受益に該当しません。
改正民法1044条により、
相続人に対する特別受益は、原則として相続開始前10年以内のものに限り、
遺留分算定の基礎財産に算入される
とされました。
これは、過度に古い贈与まで遡ることによる不安定性を避けるためです。
被相続人と受贈者が、
遺留分権利者を害することを知りながら行った贈与については、
10年を超えていても算入されます。
ここが最も誤解されやすいポイントです。
民法1046条2項により、遺留分侵害額は次の構造で計算されます。
遺留分侵害額
= 個別的遺留分
− 遺留分権利者が受けた特別受益の額
遺留分権利者自身が受けた特別受益については、
10年以上前のものであっても、全額控除される
と解されています。
つまり、
という非対称構造になっています。
被相続人が、 「この贈与は相続分の計算に含めない」 という意思を示すことを持戻し免除といいます(民法903条3項)。
最高裁平成24年1月26日決定は、
持戻し免除の意思表示があっても、
特別受益は遺留分算定の基礎財産に算入される
と明確に判示しています。
理由は、遺留分制度が
被相続人の意思よりも優先して相続人の最低保障を図る制度だからです。
→ Bは250万円のみ請求可能です。
遺留分侵害額請求における特別受益の取り扱いは、
を峻別しないと、結論を誤ります。
特別受益は、
「他人を責めるための材料」であると同時に、
自分の請求額を減らす刃にもなり得る点に、
この制度の難しさがありますので、注意しましょう。