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被相続人が亡くなった後、遺産分割協議が成立するまでの間に、
「空き家となった実家の雨漏りを修理した」
「老朽化した設備を最低限直した」
といったケースは少なくありません。
その際、一人の相続人が補修費用を立て替えた場合、その費用を他の相続人に請求できるのかは、実務上よくあるご相談です。
本コラムでは、その法的考え方と実務上のポイントを解説します。
民法上、被相続人の死亡と同時に相続は開始しますが、
遺産分割が成立するまでは、遺産は相続人全員の共有状態にあります(民法898条)。
不動産も例外ではなく、
遺産分割前の建物は、相続人全員が持分に応じて共有している状態です。
この点が、補修費用の負担を考えるうえでの出発点になります。
相続人の一人が立て替えた補修費用について、
他の相続人に請求できるかどうかは、その補修が「必要なもの」かどうかで判断されます。
一般に、次のような補修は、**共有物の保存のための「必要費」**として、
他の相続人に持分割合に応じた負担を求められる可能性が高いとされています。
これらは、放置すれば損害が拡大するおそれがある補修であり、
相続人全員の利益を守る行為と評価されやすいためです。
一方で、次のような工事については、
全額を他の相続人に請求することは難しい場合があります。
これらは、
「保存のための必要費」ではなく、
改良や価値増加を目的とする費用と評価される可能性があるためです。
また、
補修費用の扱いについて、実務上もっとも多いのは、
遺産分割協議の中で精算する方法です。
たとえば、
といった形で調整されます。
この方法は、
「誰がどれだけ負担すべきか」を一体的に整理できるため、
相続人間の感情的な対立を抑えやすいというメリットがあります。
補修費用をめぐる紛争を防ぐためには、次の点が重要です。
これらがあるかどうかで、話し合いの進み方は大きく変わります。
相続では、法律論だけでなく、相続人同士の関係性も重要です。
補修費用を立て替えた場合は、早めに専門家へ相談し、
適切な形で整理することが望ましいでしょう。