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相続実務において、「親が何十年も前に亡くなっているが、最近になって債務の請求を受けた」「相続人であることを初めて知った」という相談は少なくありません。
一般的な理解では
「相続放棄は3か月以内」
とされるため、「数十年前の相続についてはもう放棄できない」と思われがちです。
しかし、この理解は半分正しく、半分誤りです。
結論からいえば
👉 数十年前の相続であっても、相続放棄が認められる余地はあります。
ただし、それは極めて例外的であり、一定の厳格な条件が必要とされます。
民法915条により、相続放棄は
に家庭裁判所へ申述する必要があります。
この期間は「熟慮期間」と呼ばれます。
3か月を経過すると
となり、
👉 プラス財産もマイナス財産(借金等)もすべて相続することになります。
このため、通常は
数十年前の相続放棄はできないのが原則です。
ここが最も誤解されやすい点です。
熟慮期間の起算点は
の両方を認識した時点です。
つまり、
👉 相続開始(死亡)から何年経ったかは本質ではない
ということになります。
このため、
👉 数十年後でも「まだ期限内」であるケースが実務上存在します。
相続放棄実務の核心となるのが、この判例です。
最高裁は次のように判示しました:
相続財産が全く存在しないと信じ、かつそのように信じたことに相当な理由がある場合には、
熟慮期間は「財産の存在を認識した時」から起算する
数十年前の相続でも放棄が可能となるためには、概ね以下の要件が必要です:
👉 この3要件が揃って初めて「例外的救済」が認められます。
実務上、長期間経過後でも認められやすいのは次の類型です。
➡ 認められやすい典型例
➡ 知った時が起算点
➡ 判例上もっとも重要な類型
➡ 何十年後でも可能
以下の場合は、数十年前であればほぼ認められません。
👉 「財産ゼロと信じた」とはいえない
👉 「単純承認」(法定承認)となる
👉 原則として救済されない
数十年前の相続放棄で最も重要なのは以下です:
これは証拠と事情説明(上申書)により判断されます。
実務上は
がある一方、
とされています。
👉 つまり
受理=必ずしも有効ではない点に注意が必要です。
結論を整理すると:
次の場合は可能
👉 実質的に「まだ期限が始まっていない」または「起算点が後ろにずれる」
相続放棄の制度は一見単純に見えて、
「熟慮期間の起算点」という概念により、非常に柔軟にも厳格にも運用されます。
とりわけ数十年前の相続については、
という二面性がありますので、債務の請求を受けたときには、慌てずに相続放棄も検討しましょう。